エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

そういえば今朝の天気予報で気象予報士が下り坂になると言っていたなと、ぼんやり思い出す。まだ降りはじめてはいないが、空はどことなく重い。まるで楓の心のよう。

(雨が降り出す前に帰ろう)

足を速めたときだった。


「楓」


名前を呼ばれて顔を上げる。


「……どうしてここに?」


そこに立っていたのは、父親が結婚相手にと考えている英太だった。


「楓に会いにくる以外にある?」


返答に困ることを言われ言葉に詰まる。いつもの楓ならすんなり切り返せただろうが、今夜は全然ダメだ。


「先日は父が突然すみませんでした」
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