エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「ちょっ、英太さん、私なら大丈夫ですから」
マンションはここから歩いて十分、車に乗るまでもない。
しかし足を踏ん張るが所詮は女の力、英太に敵わずふらふらと足が出る。
「そんな顔して電車に乗るつもり? 送ってってあげるよ」
ハザードランプをつけてそばに停車していた車の助手席に楓を押し込めた。すぐに回り込んで運転席に乗り込み、ドアロックをかける。
楓のマンションは徒歩十分の距離。電車に乗る必要はない。しかしドアを開けようとしても無駄だった。
「何度か電話してたんだけど」
「私に?」
「いつかけても出なかった」
そういえば見知らぬナンバーから着信があったが、無視を決め込んでいた。英太と別れたあとに番号を変えたため、彼からの電話だとは気づかずに。
おそらく英太は芳郎に新しい連絡先を聞いたのだろう。