エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

婚約者も、それとはべつに好きな女性もいるのに、楓の部屋に上がってもいいのだろうか。
他人事ながら余計な心配をする。


「平気とは?」
「石川さんという婚約者がいるのに、ひとり暮らしの女性の部屋にあがっても平気なのかという意味です」


立ち聞きしていたのを知られたくないため〝好きな女性〟は引き合いに出さずにおいた。


「それも含めた話をしにきたんだ。入れてくれるとありがたい」


本来ならそれでも〝ダメです〟と止めるべきだろう。それができない意志の弱い自分が情けなくなりながら、客用のスリッパを出した。


「あまり広くないですし、散らかっていますけどどうぞ」
「部屋を見るのが目的じゃない。キミと話したくて来たんだから気にするな」


そう言う割に、雅史は玄関で靴を脱いで上がった途端、ぐるりと見回した。
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