エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

〝この前の一件は忘れてくれ〟
〝結婚が決まったから、あの夜のことは口外しないでほしい〟
〝一緒に仕事をするのは気まずいから、異動を了承してくれ〟

ものの数秒のうちにいろんなセリフを予想する。こんな早朝からわざわざ訪れるくらいだから、その三つ全部の可能性も高い。いや、むしろそうなのではないか。

昨日、楓は似たような宣言をしたはずだが、まだ足りないのかもしれない。

言われる覚悟はできていたはずなのに、以前言われた雅史の『キミも俺と同じ気持ちじゃなかったのか』という言葉に好意の欠片を感じて、もうひとりの楓が三つのセリフを否定しにかかる。

好きな女性の存在をチラつかされているのに、あきらめが悪いにもほどがある。

雅史の顔を見ていられず目を逸らしたそのとき――。


「俺はキミが好きだ」


思いがけない告白が楓の胸をつく。それも熱を込めた言い方のため、一瞬、心臓が止まった感覚だった。
とっさに雅史を見たら、あの夜と同じように甘い眼差しで見つめ返された。
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