エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

ソファを勧められて浅く腰を掛ける。前回来たときは雅史も一緒だったが、今日はひとりのため緊張が比でない。

しかし慎一は、雅史がいないのを見計らって声をかけたのだろう。それはつまり、彼の耳には入れたくない話をするためだ。


「海老沢さんは海老沢総合病院のお譲さんだったんですね」


開口一番に浴びせられたのは、想像のずっと上をいくものだった。


「……どうしてそれを」
「調べればすぐですよ」


たしかにそうだろう。今時そんな情報は簡単に手に入るが、続けざまに慎一が放った言葉に驚かされる。


「お父様はお元気ですか?」
「父をご存じなんですか!?」


思わず前のめりになり、質問に質問で返した。まさか父を知っているとは思いもしない。


「同じ大学で学んだ同級生です」
「そうだったんですか」
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