エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
(お父さんと院長の間になにがあったの……)
いくら考えたところで楓にわかるはずはなく、ぼんやりしたまま雅史の部屋の前まで戻ってきた。
深く考えもせず惰性で開けた扉の向こうに雅史がいて我に返る。
芹菜は楓が伝えた通り先に帰ったようだ。部屋には雅史ひとりだった。
「手術、お疲れ様でした」
シャワーを浴びてきたのか、髪が濡れていた。
「ありがとう」
「見学にいらしてたドクターたち、みなさん一様に見事な執刀だったと舌を巻いていました」
「今回はさほど珍しい症例ではなかったけどね。……で、楓はどうしてそんな顔?」
「私、どんな顔をしてますか?」
思わず自分の頬に触れて目を瞬かせる。
「困ってる顔」
「神楽先生の素晴らしい手術を見学して、その精鋭ぶりにドキドキしたので」
「それは光栄だね。ドキドキついでに食事に行こうか」