エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

澄まして答えておきながら、心は大きく弾む。うれしくて幸せで、今にも気持ちが走りだしてしまいそう。


「じゃ、左手を貸して」


立ち上がった雅史が楓のそばに跪く。
そっと出した薬指に滑らせた指輪は、定位置でぴたりと収まった。


「……とっても綺麗」
「夜景よりいいだろう?」


そのまま楓の左手を口元に持っていき、唇を押し当てる。


「比べ物になりません」


楓が答えると同時に「お待たせいたしました」とスタッフが前菜を運んできた。見た目も華やかな、トマトと生ハムのブルスケッタだ。

自分の席に戻った雅史と揃って手に取る。
同時に口に運んだら、トマトの酸味とバジルの香り、生ハムの塩気が相性抜群。「おいしい」と言い合いながら、ゆっくり運ばれてくるコース料理を楽しんでいく。
< 147 / 322 >

この作品をシェア

pagetop