エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

空港から病院へ戻った楓は主が不在になった部屋で、帰国後に手術が控えている患者用のカンファレンス資料をまとめていた。
元となるものを作成するのはもちろん雅史だが、それをプレゼン用ソフトに移行するのは楓の仕事である。

いつもなら没頭できる作業なのに、今日はなかなかそうもいかない。

今は太平洋上のどのあたりだろう。
隣り合ったシートでなにを話しているだろう。

油断すると雅史と芹菜のことが気になり、集中力が何度も途切れる。卓上カレンダーを見ては、帰国の日が待ち遠しい。

(あれ? そういえば最近、生理がきてない……?)

カレンダーを眺めていたら、ふと思い出した。最後の生理はいつだったか、スマートフォンのスケジュール帳を開く。

楓は毎月スケジュールアプリに生理の日を記録している。たいてい規則的だが、最近きた記憶がない。

現在は六月だが、その月にしるしはなく五月に遡る。ところがその月にも記録はなかった。

(嘘……。それじゃ最後は四月?)

さらに過去に戻ると四月も終わりに差し掛かる頃に最後の生理があった。
几帳面な楓が記録を忘れるとは思えないし、ここしばらく生理がないのも事実。
< 180 / 322 >

この作品をシェア

pagetop