エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
(――まさか。雅史さんと一夜を過ごしたあの夜……)
気になってカレンダーでたしかめると、ちょうど排卵日のあたりに彼と関係をもっているのがわかった。
いや、そんなはずはないと頭から否定する。
雅史が避妊せず無責任に事に及ぶとは考えられないし、それを着ける仕草はたしかにしていた。
(でも万が一ってこともある?)
コンドームによる避妊は100パーセントではないと聞いたことがある。
体から血の気が引いていく。
もしも楓のお腹の中に彼との命が宿っていたら――。
お互いの父親から反対されている最中に妊娠なんて、取り返しがつかない。
でも、もしも本当に妊娠していたら、結婚を認めざるを得ないのではないかというズルい期待が顔を覗かせた。
(ううん、そんなのダメ。卑怯だもの)
頭を振って邪な考えを必死に追い出す。
気分転換するために冷たい飲み物でも買ってこようと部屋のドアを開けたときだった。院長秘書の田所が、今まさにノックしようと手を振り上げた場面に出くわす。