エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
車が平屋の建物の駐車場に止められる。立派な数寄屋造りからして料亭だろう。
運転手に開けられたドアから降り、玉砂利を踏みしめて店内に入ると、おかみらしき和装の女性が顔を出した。
「神楽様、いつもありがとうございます」
よく使う店らしく、おかみが丁寧に腰を折る。
左手に手入れの行き届いた日本庭園を臨みながら、長い廊下を歩いていく。案内されたのは、ふたりにしては広い和室だった。
大きなテーブルに向かい合って座り、お茶を出してからおかみは去った。
「料理は私のほうで選ばせていただきました」
「ありがとうございます」
手持無沙汰からお茶を手に取り、口をつける。やけに喉が渇くのは、ただならぬ人物を前にしているせいにほかならない。
座椅子に悠然と腰を据える慎一の前で委縮する。
「雅史の同行を阻止したこと、恨んでいるでしょうね」