エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
もしかしたら慎一も、芹菜の本質を見抜いているのではないか。
日本でも有数の病院を牽引してきた慎一なら、多くの人とかかわってきたのは想像に容易い。人を見る目は養われているから。
でも、そんな彼女でも雅史の結婚相手にしようとするほど、楓を排除したいのだろう。
「海老沢さんの仕事ぶりは多方面から聞き及んでおりますよ。とても聡明な秘書だと」
「もったいないお言葉です」
楓が頭を軽く下げると同時に障子が開き、おかみとはべつの女性がしなやかに入室する。お盆に乗った料理をふたりの前に並べた。
「先付をお持ちしました。賀茂ナスの田楽でございます」
懐石のコースらしい。美しい器に盛られた料理は品がある。
女性スタッフが下がると同時に「いただきましょうか」と、慎一が箸を持った。
「いただきます」