エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「やはりお許しいただけないでしょうか」


芳郎と慎一の複雑な気持ちは痛いほどにわかる。奪い合ったのではないにしろ、同じ女性を愛した過去は、そう簡単に割りきれないだろう。

それでも楓は、雅史との未来をあきらめられない。


「もしも……」


〝私たちの間に子どもができたら許していただけますか?〟

勢いでそう言いかけて止める。確定もしていないのに脅しじみたことは口にできない。
無意識にお腹に手をあて、ぐっと堪えた。


「私ひとりが賛成したところで、あなたのお父様は反対でしょう。……というのは責任転嫁になりますね。海老沢芳郎に乗じて逃げているのですから」


それなら本音では許してくれているのかと期待が顔を持ち上げる。
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