エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

雅史から連絡があったのは翌朝、そろそろ出勤しようとコーヒーカップをシンクで洗っているときだった。
今か今かと待ちわびていたため、着信音がしたスマートフォンに飛びつく。


「もしもし!」
《楓が珍しく焦ってる?》


カメラつきで通話しているわけでもないのに、まるで見ていたよう。


「いえ、焦ってなんていません」


取り澄まして返したが、声を聞けたうれしさで心は弾む。
昨夜遅くに無事に着いたとメッセージだけは届いていた。


「今はどちらですか?」
《夕食をとってホテルに戻ったところ》


腕時計で時差を確認する。
サマータイムで換算すると、あちらは前日の午後六時半だ。
< 196 / 322 >

この作品をシェア

pagetop