エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
なんとはなしに出しただけの名前に楓が反応するとは思いもしなかったみたいだ。目を真ん丸にして沙月が言いなおす。
「じつはお付き合いをさせていただいてます……」
「えっ、しかも付き合ってるの!? やだ、そうだったんだ」
沙月は驚いてのけ反り、椅子の背もたれに体を預けた。
「息の合い方は抜群だし、お似合いだとは思ってたけど、海老沢さんは全否定だったから」
「ごめんなさい」
「ううん、神楽先生が相手なら言えなくて当然。だけど大変だ」
芹菜のことを言っているのだろう。今のままでは、楓は院長公認にはなれない。
雅史はふたりの意思さえ固まっていれば認めてもらえなくてもいいと言っているが、できればお互いの親には祝福してもらいたいと思っている。
「アメリカにまでくっついて行かれちゃって心配ね」
雅史はちょくちょくメッセージアプリに連絡はくれるが、電話は最初に一度くれたきり。内容も他愛のないものがほとんどで、芹菜の名前が出てこないのがかえって気になる。