エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

話が堂々巡りで困惑しかない。


「違った?」
「違います」


きっぱりと訂正する。
それでも英太は無邪気な笑顔を浮かべている。


「今夜こそ、ふたりで食事にいこう」
「ごめんなさい。英太さんとふたりではお食事に行けません」
「あっけなく振られたか」


クスクス笑いながら肩を揺らして楽しげだ。


「そう言わずに行こう。積もった話もあるし、ふたりの未来についても話したい」
「まだ――」
「私の秘書との未来とは、いったいなんでしょうか」


楓が〝仕事があるから〟と続けようとした言葉が、背後からかけられた声に遮られる。

よく知る声にドキッとしつつ振り返ると、そこに雅史がいた。少し後ろに芹菜の姿もある。

病院へは寄らないだろうと思っていたが、ふたり揃って空港から直行してきたようだ。キャリーバッグを引いている。
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