エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「失礼ですが……?」
どちら様ですか?といったニュアンスで英太が雅史に問いかける。
「私に名前を聞いているのであれば、まずは自分から名乗るのが礼儀ではないでしょうか」
いつになく雅史の声は冷ややかだ。
以前、雅史はスタッフ専用の通用口を出たあたりで英太の姿を目撃しているから、彼が楓の縁談相手だと知っている。だからこその態度だろう。
「私たちの会話に突然入ってくるほうが無礼だと思いますが」
英太まで口調がとげとげしくなったためハラハラさせられる。
楓はふたりの顔を交互に見たものの、どうとりなしたらいいのかわからない。
「たしかにそうですね。私はこの病院で医師をしている神楽雅史です。彼女は私の大切な秘書なので、失礼ながら声をかけさせていただきました」
神楽という名前でこの病院の跡取りとピンときたのか、英太は眉を上げ下げした。