エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
雅史が部屋に戻ってきたのは、それから二時間ほど経過したとき。当初予定していた時刻通りだった。シャワーを浴びてきたのか、ふわりとシャンプーが香る。
「執刀お疲れ様でした。久保様のご容態は?」
立ち上がって出迎えた。
「まだ麻酔から覚めないけど手術は成功。あと三十分もすれば一度目を開けるだろう」
「そうですか。よかったです」
雅史なら手術の失敗はないだろうが、成功と聞くとホッとする。
「翻訳?」
雅史が楓のパソコンを覗き込んだ。
「はい、先生がお戻りになるまでに終わらせたかったのですが」
まだ四分の一ほど残っている。雅史の戻りが早かったのではなく、楓のスピードが落ちていたためだ。