エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
例の噂は沙月の耳にも入っているのか知りたかった。
沙月が「なに?」と首を傾げる。
「石川さんの話は聞きましたか?」
「石川さんの話って……ああ、神楽先生絡みのあれね」
沙月は小刻みに頷きながら苦々しい表情を浮かべた。
やはり知っているみたいだ。
「もしかして海老沢さんの様子がおかしいのはそのせい?」
「最近みんなの様子が変だとは感じていたんですけど、さっきトイレで聞いてしまって……」
「そっか。海老沢さんの耳に入っていないなら、私から無理に聞かせる話じゃないと思って黙っていたの」
傷つく話をわざわざ本人に伝える必要はないと考えたという。
「彼女が犠牲者ぶって話してるのを見かけたとき、思わず〝ふたりの邪魔をしてるのはあなたでしょ〟って乗り込もうとしたんだけど……。海老沢さんたちが公にしていない以上、私が勝手に暴露すべきじゃないし」
「白石さんにまで嫌な思いをさせてごめんなさい」