エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

急いで頭を下げる。関係のない沙月に不快感を与えてしまった。


「どうして海老沢さんが謝るの。根も葉もない噂話を流してるのは石川さんなんだから」


沙月が険しい表情で芹菜を糾弾する。


「だけど神楽先生も、もっと強く突っ撥ねたらいいのに」
「石川さんとの結婚は考えていないって、院長には何度もお話ししているみたいなんですけど……」


芹菜に対しての態度も、決して好意を抱かせるようなものではなく、むしろ冷たいと感じるくらいだ。楓の手前、気を使って余計にそうしている部分もあるだろう。

それでも芹菜はあきらめない。
彼女と雅史の父親が認めているという自信があるからか、振る舞いにブレがないのはある意味すごいと思わされる。


「いっそ駆け落ちでもしちゃう?」
「それはできません」


雅史はたくさんの患者を抱えている。その人たちを放って自分たちのことだけを考えても、絶対に幸せにはなれない。
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