エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
沙月は電話を切り、今度は楓の手首を取り脈拍を計測しはじめた。
「……こっちは特に問題はなさそう」
楓の膝の上に手をそっと戻し、楓の顔を観察する。
「最近、眠れてないの?」
「ちゃんと寝てます。でも眠りは浅いかもしれません」
夜中に目覚めるたびに芹菜のメールと写真が頭の中に蘇り、悶々とするときもある。
雅史にはっきり問いただせば済むのはわかっているが、それがふたりの破局のきっかけになるのが怖くてできずにいる。
自分がこんなにもうじうじ悩む性格とは知らなかった。
たぶん雅史をそれだけ好きな証だろう。手放したくないからこそ臆病になる。
カンファレンスルームのドアが開き、現れた雅史は楓を見て目を丸くした。
「海老沢さんも一緒だったのか。それでどうした」
「海老沢さん、体調が悪いようで。早退してもらったほうがいいかと思います」
「体調が?」