エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「海老沢さん」
あとから出た雅史に呼び止められて足を止めると、彼はポケットからカードのようなものを取り出した。
「こっちに帰ってて」
回りに人がいないか確認してから囁く。
よく見たらそれは彼のマンションのカードキーだった。
このところ少しずつ運び込み、楓のマンションに残っているのは大型の家具と今必要のない冬物の洋服くらい。
「カンファレンスが終わったら帰る。きちんと寝てるんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
手を出してそそくさと自分のポケットに忍ばせた。
荷物を取りに入った雅史の部屋にいた芹菜に早退することを告げると、彼女がここ一番の笑顔になる。邪魔な楓がいなくなるのがうれしいのだろう。
「お大事にしてください。あとは私に任せてくださいね」
「ありがとう、よろしくお願いします」