エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
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楓が帰ったあと、雅史は入院患者の回診を終え、夕方に予定されている手術前カンファレンスの準備をはじめた。
「神楽先生、なにかお手伝いすることはありませんか?」
「いや、ない」
芹菜ににこやかに尋ねられ、首をひと振りする。資料は完成しているため、楓のパソコンからダウンロードするだけだ。
楓のデスクのパソコンの前に座り、帰る間際に教えてもらった保存先フォルダをクリックする。
「それじゃ、コーヒーでもお淹れしましょうか」
「それもいい」
今がその場面でないのは、楓なら察するだろう。
「カンファレンスには私も参画させてください」
「はじまるのは五時過ぎだから、石川さんは帰ってもらってもかまわない」
確認した腕時計は四時半。なんなら今すぐ退勤してもらってもいいくらいだ。