エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「そんなに冷たくしないでください」


甘えたような声で雅史の白衣を掴む。


「悪いが、忙しいんだ」


慎一から紹介されたときやアメリカでも、好意はないとはっきり告げているにもかかわらず、芹菜の態度は終始変わらない。雅史がいくら突っ撥ねようがへこたれないのだ。

近頃は楓も巻き込んだ妙な噂も立ちはじめ、正直うんざりしはじめていた。

掴まれた白衣を引っ張って彼女の手を外すと、芹菜はつまらなそうな顔をして部屋を出ていった。おそらくナースステーションか医局にでも愛想をまきに向かったのだろう。

彼女にかまわず、楓のパソコンからUSBにダウンロードしていく。

(そういえばメールで送られてきている資料もあったな)

他院で同じ症例の患者がおり、その執刀医に依頼して術後の経過を楓宛に送ってもらう手はずになっていた。
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