エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

その直後はじまったカンファレンスは、楓の事前準備の周到さのおかげもあり滞りなく終わった。不在だからこそ楓の的確なレスポンスの素晴らしさを思い知り、ほかの人間では秘書の役目は到底できないと痛感する。

カンファレンスが終わるまで部屋で待つように告げていたため、芹菜は素直に部屋で待機していた。


「雅史さん、どこへ連れていってくださるんですか?」


食事への誘いだと勘違いしているらしい。
堅い表情を崩さない雅史を見て、目を瞬かせる。


「カンファレンス、思うようにいかなかったんですか? やっぱり私もお手伝いさせてくださればよかったのに」


芹菜がいたら足手まといなのは明白だが、本人はそれをまったく自覚していないようだ。


「すぐに帰る支度をしますね」


弾んだ声でパソコンをシャットダウンした芹菜に「まだ帰すわけにはいかない」と告げる。自分でも驚くほど冷酷な声になった。
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