エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「なにか仕事が残ってるんですか? それなら任せてください」


芹菜は無邪気な笑顔だ。


「大仕事が残ってる。院長室に付き合ってもらいたい」
「院長室? ……もしかして、やっと私との結婚を決意してくださったんですか?」


院長にその報告でもするのかと勘違いしているらしい。

華やいだ顔につくづく嫌気が差す。雅史にその気がないのは明らかなのに、能天気にもほどがあるだろう。

彼女の質問に答えず、楓のノートパソコンを小脇に抱えて部屋を出る。芹菜はうれしそうにあとをついてきた。

ノックをして中へ入ると、慎一はデスクから立ち上がり、雅史たちにソファを勧めた。心なしか顔色が良くない。

(そういえば帰国した夜、楓も院長の体調が悪そうだと話していたな)

年齢的にも心配だから、やはり一度検査を受けてもらったほうがいいだろう。
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