エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
メールが残っていたから雅史が偶然にも発見できたが、もしも楓が勢いに任せて削除していたら、闇に葬られているところだった。
芹菜も、それが残っているとも雅史がカンファレンスの資料のためにメールを開くとも、予想しなかっただろう。
おそらく芹菜は、楓が雅史に聞くに聞けなくなるよう、うまく誘導したに違いない。
「なんなら、このメールや状況証拠を知り合いの弁護士にもっていって、あなたを訴えましょうか。睡眠薬の混入は立派な犯罪ですよ」
「犯罪だなんて……。だって、雅史さんが全然私を見てくれないから」
俯いて唇を噛みしめていた芹菜がハッとして顔を上げる。眉をハの字にした顔は懇願するかのよう。
「認めるんですね」
雅史がそう問いかけた瞬間、芹菜はぽろぽろと涙を零しはじめた。
楓を傷つけた人間の泣き落としは雅史に通用しない。
「院長、これでも彼女を私の妻にしようとお考えですか。海老沢さんを貶める噂を院内に触れ回ったり、根も葉もない話をでっち上げたりするような女性と結婚しろとおっしゃるんですか。故意に睡眠薬を飲ませるなど言語道断です」