エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
彼女のヒールの音がドアの向こうで響き、次第に遠のいていく。
部屋に残った雅史は慎一と改めて向かい合った。
「院長、潔いご決断、ありがとうございます」
苦々しい表情を浮かべた慎一は、息を長く吐きながらソファの背もたれに体を預けた。
「仕方がないでしょう。彼女は精神的に未熟だとわかっていましたが、雅史の気持ちが彼女に向けばそれでいいと……」
楓との仲を避ければいいくらいに考えていたのだろう。
「私は楓さん以外の女性との結婚は考えていません」
「……だが、彼女のお父様は認めない」
きっぱりと返した雅史に、慎一もまた頑なに否定した。
「では院長は、またべつの女性との縁談を私に持ちかけるおつもりですか」
誰をあてがおうが結果は同じ。雅史は何度だって突っ撥ねるつもりだ。