エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

愕然としたまま手にしていたスマートフォンがヴヴヴと短く振動する。沙月からのメッセージだ。

【体調はどう?】

今なら電話しても大丈夫だろうと、連絡先の一覧から沙月を選択。ワンコールも鳴らずに彼女が出た。


「白石さん、どういうことなんですか?」
《脳梗塞だったみたいなの》


挨拶もそっちのけで尋ねると、沙月も即座に返してくれた。
やはり手元の狂いや目眩は、そこからくる前兆だったのだ。

(あのときにもっと真剣に取り合っていたら……)

ただの疲れや軽い体調不良で済まさず、すぐに検査するよう促していたら倒れるような事態にはならなかったのにと後悔に暮れる。


《発症してからすぐに処置できたから、それほど深刻な状況にはならないと思うよ》
「先生はまだ?」
《私ももう帰宅しちゃったからはっきりはわからないけど、さっき残ってる看護師に確認したら、神楽先生はまだ処置中だった。t-PAの投与が間に合ってオペにならずに済んだけど、院長に付き添ってるのかも》
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