エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「……ん」
慎一の瞼がピクリと動く。
「父さん」
そう呼ぶのはどれくらいぶりか。〝院長〟が常だったため、なんとなく気恥ずかしい。
ゆっくりと目を開けた慎一の焦点が雅史に合う。
「まさ、ふみ……」
小さいながらも明瞭な声だった。
脳梗塞を含む脳卒中の処置は時間との戦い。早い処置が、その後の回復度合いを左右する。
幸いにも慎一は病院で、それも雅史の目の前で発症したため、スピーディーに対処できたのがよかった。
「気分はどうですか?」
ゆらゆらと揺れる瞳で部屋を見回す。ここが病室とわかり、自分の置かれた状況をすぐに把握したようで、その目にわずかに力が込められた。
「……どうして私を助けた?」
「医師であれば当然ですが……?」