エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
不可解な発言をする慎一に訝りつつ返す。
「放っておけば私を排除できただろう。そうすればお前は好きなように自分の人生を選べるのに」
目の前で倒れた人間を見て見ぬふりをして放置すればよかったと言いたいらしい。
他人行儀な敬語を使ってきた慎一が、珍しく対等な口調だ。
「どんな理由があろうと、医師として人を見殺しにするような真似はしません」
それが自分に不利に働こうとも、医師とはそうではないのか。
「父さんには、正当な方法で海老沢さんとのことを認めていただきますので」
「……久しぶりに〝父さん〟と呼ばれたのは私の記憶違いか」
慎一の目元に微かな笑みが浮かぶ。遠い過去を懐かしむように、その目が病室内を彷徨った。
「お前の秘書の海老沢さんは素敵な女性だな」
「アメリカ出張中にふたりで食事をしたそうですね」
「彼女から聞いたか」