エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

*****

午前九時を過ぎても、雅史は部屋に顔を出さなかった。診察時間になったため、院長の病室から直接診察室に向かったのだろう。
急きょ夜勤になったうえ、続けざまに診察がある雅史の体が心配になる。


「今日は午後に大事な用件は入っていないから、診察が終わったら帰ってもらおう」


立ち上げたパソコンでスケジュールを確認し、ひとり言を呟いた。

(あれ? そういえば……)

出勤時間はとっくに回っているのに芹菜の姿がないと、ふと気づく。

(今日は休みなのかな)

仕事はさておき時間にルーズなタイプではないため、急きょ休みになったのかもしれない。

しかし念のためにナースステーションに問い合わせても、そのような連絡は入っていないという。
もしかして通勤途中で事故にでも遭ったのではないか。楓を押しのけてまで雅史のアメリカ出張についていった彼女が、なんの連絡もなしに休むとは考えられない。
< 280 / 322 >

この作品をシェア

pagetop