エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
その日の夕方、楓が帰り支度を済ませてスタッフ専用の通用口を出たときだった。
「楓」
名前を呼ばれて振り返ると、そこに英太の姿があった。
「……どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも、楓が俺の電話に出てくれないからだよ。ここへ来る以外に連絡を取る方法はないだろう?」
雅史が帰国した日、病院で英太と会って以降、彼からの電話を楓はスルーしていた。
「でも、私は英太さんとは結婚しませんから」
何回繰り返せばいいのかと、つい強い口調になる。
「楓の主張はわかってる。けど今はそれどころじゃないんだ」
「……それどころじゃない?」
「キミのお父様が倒れてね」
「えっ……」
雅史の父親の次は自分の父親かとヒヤッとする。