エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

実家を訪れるのは、雅史とのことを認めてもらうために来て以来になる。

英太は楓を家の前で降ろした後、疲れさせたくないからと芳郎には会わずに帰った。

鍵を自分で開けて中に入ると、ダイニングに兄の誠也がいた。

幼い頃には双子と間違われるくらいによく似た兄は現在、海老沢総合病院で心臓血管外科医として多くの患者の命を救っている。
会うのは今年の正月以来だ。


「お兄ちゃん」
「おお、楓、久しぶりだな」


自分でコーヒーを淹れていた誠也は、楓にも「一杯飲むか?」と聞いてきたが断った。


「お父さんの具合はどうなの?」
「過労だろうな。まぁ年齢相応に心臓にも負担がかかってるのはたしかだけど。深刻な容態ではないから心配するな」


その言葉を聞いてほっとする。ひとまず差し迫った危機はないようだ。


「父さんなら寝室で休んでるから、顔を見せてやれ」
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