エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
笑みを浮かべながら返したら、雅史が親指と人差し指でパチンと音を鳴らす。〝その通り〟と言いたいのだろう。
「だから海老沢さんは一杯と言わず、好きなだけ飲んだらいい」
「お酒は好きですけど、そんなに飲んだら神楽先生に醜態を見せてしまいますから」
「海老沢さんの醜態? それは非常に興味があるね」
雅史は片方の口角だけ上げ、いかにも悪ぶった笑顔をする。そうしても美しい顔立ちは崩れず、甘いマスクにほどよいスパイスが効いてかえってカッコいいのが憎い。
「見てもおもしろいものじゃないです」
見苦しい姿は見せたくない。
「そう? かなり興味深い」
「私を酔わせてどうするつもりですか?」
おどけた口調で冗談を飛ばす。
どんなつもりもなにもないだろう。雅史は話の流れで言っただけ。会話のキャッチボールだ。