エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
雅史と芹菜のアメリカでの疑惑をはっきりできないことも重なり、気持ちがどんどん後ろ向きになっていく。
「お父さん、ごめんね……」
ぽつりと呟いたが、眠っている芳郎の耳には届かない。
ふと、バッグの中でスマートフォンが着信を知らせている音に気づき、急いで寝室を出た。
取り出したスマートフォンの画面には雅史の名前が表示されている。ここへ来る途中、英太の運転する車の中で【少し遅くなります】とメッセージを送り、それきりになっていた。
「ごめんなさい、雅史さん」
耳に押しあてて即座に謝る。
《残業?》
「いえ、じつは父が倒れて……」
状況をかいつまんで説明すると、雅史は言葉に詰まっているようだった。
「でも、兄によるとそれほど心配しなくて大丈夫みたいなので」