エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

離れる人もいれば、そうでない人もいる。一概に決めつけてほしくない。


「じゃ、俺が海外赴任するときはどう思った? 離れても心は一緒? それともその逆?」


英太と別れたときの話を持ち出されて困惑する。
今さら昔話をしても、過去は変えようがないのに。


「どうして別れを選ぶのか理解できませんでした」


それでもありのままを答えた。のらりくらりとかわしたところで、英太は質問をあきらめないだろうから。

家庭教師をしてもらっていたときもそうだった。疑問は最後まで突き詰めろと教わった。わからないままにするなと。

とはいえ全部が全部、明らかにできるものばかりではないけれど。雅史と芹菜の疑惑がいい例だ。


「つまり、離れようが好きな気持ちに変わりはないと」
「そうなりますね」
「俺は、あのときそうは思えなかった。人なんて離れたらおしまいだと。でもそれを今になって後悔してる。当時はキミのお父さんに反対されていたけど、あのまま楓を手離さなかったら、今も俺の隣にいたんだろうなって。どういう意味かわかる?」
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