エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
《お父様の具合は?》
「もうだいぶいいです。長くお休みしてすみません」
《こっちのことは心配するな》
芹菜がいるから大丈夫なのかと勘繰りたくなるのは、いろいろな問題が片づいていないせいだ。
「院長は?」
《院長も問題ない。今は自宅療養中だが、間もなく仕事に復帰できるだろう》
雅史の報告に安堵していると、英太が背後で唐突に大きな声を出した。
「楓、そろそろ風呂でも入ろうか」
「ちょっ、英太さん、なに言ってるんですか。やめてください」
スマートフォンを手で押さえ、振り返って英太を窘める。
誤解されるようなことをわざと言うのはひどい。
「雅史さん、今のは気にしないでください」
《……重森英太もそこにいるのか》
「あ、えっと、父のお見舞いに来ただけなので」
焦って説明する。ふたりきりでいるわけではなく、やましい事実はなにひとつない。