エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「楓、待って」


ダイニングを立ち去ろうとしたが、英太に手首を掴まれた。ぐいと引っ張られ、彼のほうを強制的に向かされる。

腰を引き寄せられ、一気にふたりの距離を詰められた。

――キスされる。

そう予感した瞬間、とっさに英太の胸を力任せに押しやった。
彼の体がぐらりと体勢を崩した隙を突いて、パッと身を翻す。


「もう帰って!」


背中越しに言葉を投げ、猛ダッシュで二階の自室に向かった。少し乱暴にドアを閉め、階下の様子に耳を澄ませていると、英太が玄関から静かに出ていく音が聞こえてきた。

肩を上下させて息を吐き、ベッドに腰を下ろす。雅史にすぐにでも釈明の電話を入れたいが、仕事中のため叶わない。
仕方なくお風呂に入って気分を一新させようと決めた。

ここへ来たのは突発的だったため、洋服はクローゼットに置いたままになっているものだけ。扉を開いて、着替えを漁る。
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