エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
楓は抱えてきた日記を芳郎に差し出した。
「……こんなものをまだとっておいたのか」
「こんなものって、お母さんが残した大事なものなのに」
「鍵までかけて、誰にも読まれないようにしたものじゃないか」
忌々しいものでも見る目を日記に向ける。芳郎はきっと、中に書かれているのは元恋人の慎一への忘れられない恋心だと考えているのだろう。
「それが開いたの」
「……開いた?」
芳郎は眉をピクリと動かしたが、次の瞬間にはフンと鼻を鳴らした。
「開いたからといって、人の日記など読むものではない」
「ううん、お父さんはこれを読むべき」
芳郎にとって、これほど大切なものはほかにないはずだ。
「……どういう意味だ」
「鍵のナンバーがいくつだったと思う?」
「そんなのわかるわけがないだろう」