エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

翌朝、楓を目覚めさせたのは家政婦の「お客様がお見えです」との言葉だった。

ベッドで時計を確認したら、まだ七時前だ。昨夜は芳郎が気がかりであまり眠れず、うつらうつらしただけのため、いつもならとっくに目覚めている時間なのに瞼が重い。

もしや昨夜に引き続き英太ではないかと嫌な予感が胸をかすめつつ、ベッドから抜け出た。

顔を洗って急いで着替え、数少ないメイク道具のアイブロウとリップで手早く済ませる。

そうして身支度を終えてリビングのドアを開けた楓は、ソファに座る人物を見て幻じゃないかと目を疑った。


「雅史さん……!?」


なぜここに彼が。あまりにも衝撃的過ぎて、名前を呼んだきり言葉が出てこない。ドアノブを掴んだまま、そこでフリーズした。


「夜勤明けで車を飛ばしてきた」


夜のうちに楓の実家の住所を調べ上げたという。
< 305 / 322 >

この作品をシェア

pagetop