エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「どうして」
「昨夜、電話で妙な人間が近くにいただろう。居ても立ってもいられなかった」
妙な人間とはたぶん、いや確実に英太を指しているのだろう。
だからといって楓の実家にひとりで乗り込むとは、すごい勇気だ。なにしろ芳郎に認めてもらっていない。
「それに話したいことが山ほどある」
「……だからって、こんなに遠くまで?」
車で十分、十五分の距離ではない。高速を飛ばして二時間かかる距離だ。
彼の座っている場所までゆっくり足を進めると、雅史は立ち上がって楓を抱きしめた。
「一週間も離れてた恋人に対する言葉とは思えないな」
「ごめんなさい。変な意味じゃなくて、忙しいのにって言いたいんです。それも夜勤明けなんて」
父親の状態も気がかりだろうし、ただでさえ秘書の楓がサポートできていない忙しい最中なのに。