エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
双方で謝り合っているとリビングのドアが開き、家政婦がお茶を運んできた。
それぞれの前に茶碗を置き、静かに去っていくのを見計らい、雅史が口を開く。
「どうか楓さんとの結婚をお許しいただけないでしょうか」
まさか今ここでその話をするとは思わなかったため、ヒヤッとさせられる。楓ですら、自分の父親をまだ説得できていない。
雅史が真剣な眼差しを芳郎に向ける最中、楓はこれまで以上にそわそわと落ち着かずにいる。
芳郎は息を深く吸ったあと、大きく吐き出した。
「楓には、病院を共に守っていける相手との結婚を望んでいました」
現在進行形でなく過去形の言葉に耳が反応する。
「それが楓のためでもあると考えていたからです。私が選んだ相手なら間違いないと自負もありましたから。でも」
芳郎はそこでいったん切り、お茶で喉を潤した。