エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「これを読んだあとに、楓の意向に沿わない結婚を進めるわけにはいかないだろう」
「お父さん……」
「雅史くん、キミのお父様がなんとおっしゃるかわからないが、どうか娘を幸せにしてやってください」


微笑んだ芳郎の顔は、まるで憑き物が落ちたかのように晴れやかだった。


「ありがとうございます。父でしたら、ご心配に及びません。無事に許しを得ました」
「えっ……」


雅史の言葉に反応したのは楓のほうだった。慎一がふたりを許したとは何事か。
驚いて口を半開きにした楓に、雅史がゆっくり頷く。


「そうでしたか。それはよかった。英太くんには申し訳ないことをしてしまったが、私から頭を下げておくから楓は心配しなくていい」


楓のほうは何度もその気はないと伝えてきたから、芳郎から断りを入れればさすがの英太も結婚を無理強いしようとは考えないだろう。


「楓さんのことは私にお任せください」


心強い宣言に芳郎が満足そうに笑みを浮かべた。
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