エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
数分後、戻ってきた雅史は楓の肩を引き寄せ、エスコートするように歩きだした。
「あの、帰らないんですか?」
この方向はエントランスとは違う。いや、違うどころか今降りてきたばかりのエレベーターに向かっている。
「帰る? なぜ」
「お食事は終わったので」
「俺と一緒にいたいと言ったのはキミだろう?」
「あれはその……」
返答に困って言い淀んだ直後、とびきり素晴らしい言い訳を思いついた。
「いつもの冗談です」
雅史と普段から楽しんでいるジョークのひとつだと思ってもらえれば、あの失言をうやむやにできる。
「いつもの冗談?」
訝しむように目を細める。