エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

雅史はエレベーターの開ボタンを押したまま、楓の答えを待った。

最後に彼と最高の夜を。
この夜を一生の思い出にすれば、きっと生きていける。

自覚したばかりの切実な願いが楓に決意させた。
顔をぐっと上げ、彷徨わせていた視線を雅史に合わせる。


「降ります」


はっきり口にすると、雅史はふと表情を和らげた。


「スイートルームなんですよね?」


恥ずかしさを隠すために軽口を叩いたら、雅史は胸に手をあてて「ご希望通りに」と恭しく頭を下げた。
直後にぐいと腰を引き寄せられ、ふたり揃ってエレベーターを降りる。

恋ならしたことがある。でも、こんなにもふわふわした心地になった経験はない。

胸の高鳴りは一歩進むごとに大きくなり、隣を歩く彼にも聞こえるのではないかと疑いたくなる。地に足がついていないような感覚で歩きながら部屋の前に到着した。
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