エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

倉持は「うーん……」と躊躇う素振りをしていたが、意を決したように口を開いた。


「じつは告白したんだ」
「えっ、そうだったんですか」


美人で気さくなタイプの沙月は院内で男女問わず人気があり、好意を寄せる関係者は多い。


「まぁ玉砕したわけだけど」


倉持によれば、それ以来態度が素っ気なくなってしまったという。あきらめないと宣言したのがいけなかったのかと悩ましい気持ちでいるらしい。


「海老沢さん、これ食べる?」
「あ、いえ、私がいただくわけにはいきません」


沙月のために買ってきたものは食べられない。
楓の前に置かれたプリンを丁重に押し返す。


「そっか。ふたりに揃って振られたな」
「そういうわけじゃありませんから」
「わかってるって。じゃ自分で食べるか」


倉持はなによりも先にプリンのふたを開け、スプーンで豪快に口に流し込んだ。やけっぱちだ。
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