エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

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楓が出ていった院長室で、雅史は慎一と真向かっていた。

いくら通用口で楓と意味深な会話をしていたとはいえ、雅史の彼女への気持ちを見抜いたのだとしたら、慎一は侮れない男である。

自分の妻とは長らく別居しており、心を通い合わせずにいるというのに。


「一般家庭だったら、雅史の選んだ相手に文句はありません。しかしうちは、日本でも有数の総合病院。経営が継続して安泰であるためにも、見合った相手との結婚が望ましいのはわかっていますね?」


楓が席を外してもなお、慎一はその手を緩めない。


「それが結婚で叶うとは思っていません。家同士、会社同士の結びつきだけが経営の基盤ではないはずです。お互いに信頼できる夫婦の絆があってこそ――」
「青くさいことは言うものではないですよ」


慎一が一笑に付す。

ここへ楓も一緒に呼びつけたのは、雅史もろとも牽制するためだろう。進めようとしている縁談の邪魔になってはならないと。
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