俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
だからこその質問だった。
こはるのことをこはる自身の口から話してもらいたい。俺はハンドルを強く握りしめる。
『べつに、普通に大学に行こうかなと思ってますが』
『……こはる、おまえ嘘ついてるな』
なんとなくだがこはるが嘘を言っていることはわかった。俺の言葉にぐっと息を呑む音が耳に届く。そこからは沈黙が跨った。
車のBGMとして海外のロックバンドの楽曲がかかっており、その音楽が沈黙を紛らわせてくれている。
助手席に座っていたこはるは窓の方を向き、肘をついた。そして小さくため息をつく。
『……突然人の中にズケズケ入り込んできて、いったい何様なんですか? 私があなたなんかに自分のことを話さなければいけない理由がどこにありますか?』
冷たく、拒絶を感じさせる声だった。
こはるの顔を覗き見ることは叶わない。