俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 本当に彼が劇団を助けてくれるのだろうか。たしかに彼ならお金には困っていないだろうし、なんなら有り余っているくらいだろう。

 けれどその対価が私との結婚?
 妻になること?

 どうにも嘘くさい話だ。
 私と結婚して一体玲二にどんなメリットがあるのだろうか。

 沸騰した湯をカップに注ぎ、お盆を手に玲二の座るテーブルへと戻る。
 目の前にお茶を置いた私は彼の向かいの椅子に腰掛けた。

「で、一体どういう目論見なんですか? 何がしたいのかさっぱり分かりません」

「だから言っただろうが、お前を俺の妻にするって」

「劇団を救う代わりに私を妻にする? それはあなたにとってどんなメリットがあるんですか?」

 言葉の中に棘が混じってしまうのは目の前の男がまるで自分の部屋のように寛いでいるせいだろう。それに彼のことは苦手なこともあって、あまり余計な労力をさきたくなかった。
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