俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
『もう会うことはないと思いますけど、どうかお元気で。ご飯美味しかったです。もし料金請求するなら、母を通してください。自分の分くらいは全額お返し致しますので。…………さようなら』
最後にこはるは言い残していった。
取り残された俺はくたりとソファに身を委ねる。身体の力が抜けていた。
何故だろう、怒りよりも込み上げてくる感情があるのは。たった17の小娘に拒絶された程度で自失呆然としているなんて、俺らしくない。
ふと、俺は気づく。
今まで俺のことを真っ向から否定し、拒絶してきた人間がいただろうか。いや、いない。
俺の人生はこれまで順風満帆だった。
俺が願えばなんでも欲しいものは手に入ったし、勉学や運動も今までずっとトップを走ってきた。出来ないことなど何もなく、月ノ島の後継者ということで多少窮屈な思いはしていたがそれ以外は特別悩みなどなかった。
そう。
俺はこはるという女を通して挫折を味わったのだ。